みちのくの小京都、角館

黒板塀の武家屋敷が並ぶ角館(かくのだて)。 春には樹齢数百年の枝垂れ桜が満開となり、黒塀に薄紅色の花が映えるが、冬の静寂もまた格別だ。 雪化粧した屋敷町は、水墨画のようなモノクロームの世界。 かつての武士たちの暮らしぶりを伝える屋敷の中に入れば、時が止まったような静寂に包まれる。

Kakunodate Samurai District in Winter
雪に静まり返る角館の武家屋敷通り。

来訪神、ナマハゲの伝承

男鹿半島に伝わる「ナマハゲ」は、単なる恐ろしい鬼ではない。災いを払い、祝福をもたらす山の神の使いだ。 大晦日の夜、雪を踏みしめて「泣く子はいねが」と叫びながら家々を巡るその姿は、厳しい自然と共に生きてきた人々の、畏敬の念の現れでもある。 囲炉裏の火が揺れる中、神と人が対峙する夜は、深く厳かだ。

Namahage in Snow
雪夜を往く、神の使いナマハゲ。

囲炉裏の温もり、きりたんぽ

秋田の冬に欠かせないのが「きりたんぽ鍋」。 新米をつぶして杉の棒に巻き付け、香ばしく焼いたものを、比内地鶏の出汁で煮込む。 囲炉裏を囲み、鍋から立ち上る湯気と香りに包まれるひとときは、心まで温まる至福の時間だ。

Akita Kiritanpo Nabe
囲炉裏で煮込む、本場のきりたんぽ鍋。