雪に耐え、共に生きる
日本の原風景として世界中から愛される白川郷。 急勾配の茅葺き屋根「合掌造り」は、豪雪に耐えるための知恵の結晶だ。 しかし、真の遺産はこの建築様式だけではない。 「結(ゆい)」と呼ばれる相互扶助の精神。 村人たちが協力して屋根を葺き替えるその営みこそが、この美しい風景を何百年も守り続けてきたのだ。
飛騨の小京都、高山
江戸時代の町家が軒を連ねる「三町通り」。 朝市で地元のおばあちゃんから赤かぶの漬物を買い、酒蔵で新酒の試飲をする。 飛騨の匠たちの技術が光るこの街は、歩くだけでタイムスリップしたような感覚に陥る。 春と秋の高山祭では、豪華絢爛な屋台が曳き揃えられ、京文化と独自の町人文化の融合を目撃できる。
清流と匠の技
岐阜県の中央を流れる清流・長良川。 1300年の歴史を持つ「鵜飼」は、幻想的な火の下で行われる古典漁法だ。 この清冽な水と良質な土、炭が揃った場所だからこそ、関の刀鍛冶や美濃和紙といった世界に誇る伝統工芸が生まれた。 折れず、曲がらず、よく切れる。 関の孫六の精神は、現代の包丁や爪切りにも脈々と受け継がれている。