伝統と現代の交差点
金沢は「生きた美術館」だ。 日本三名園の兼六園で四季の移ろいを愛で、ひがし茶屋街で紅殻格子の町並み歩く。 その一方で、金沢21世紀美術館のような現代建築も違和感なく溶け込んでいる。 「古いもの」への敬意と、「新しいもの」への好奇心。 この二つが共存していることこそが、金沢の文化的強さなのだ。
里山里海の恵み
能登半島は、日本で初めて世界農業遺産に認定された場所。 急斜面に幾重にも重なる白米千枚田や、海女漁などの伝統農法。 ここでは、人間が自然を支配するのではなく、自然に寄り添いながら生きてきた。 能登の土と海が育んだ食材は、素朴でありながら、生命力に満ち溢れている。
器と食の美学
「食器は料理の着物である」 美食家・北大路魯山人の言葉通り、石川の食文化は器なしには語れない。 華やかな九谷焼や、シックな山中漆器。 そこに盛られるのは、冬の味覚の王様・加賀カニや、脂の乗った寒ブリ、そして雅な加賀野菜。 目と舌で味わう総合芸術が、ここにはある。