小江戸・川越のタイムスリップ
黒漆喰の壁に、重厚な観音開きの扉。 川越の「蔵造りの町並み」は、かつて江戸の台所として栄えた商都の誇りを今に伝えている。 夕暮れ時、街に明かりが灯り始めると、その雰囲気は一層深まる。 一日四回、鐘の音が町に響き渡る「時の鐘」に見守られながら、着物姿でそぞろ歩けば、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような感覚に包まれる。
渓谷を行く、長瀞ライン下り
荒川の上流部に位置する長瀞(ながとろ)は、国指定の名勝・天然記念物だ。 「岩畳」と呼ばれる、隆起した結晶片岩が広がる景観は圧巻。 その渓谷美を間近で楽しめるのが、伝統的な和船による「ライン下り」だ。 船頭の巧みな竿さばきで、急流をスリル満点に下りながら、四季折々の自然を体感できる。
秩父、彩りの丘
秩父の春は、鮮やかな色に包まれる。 羊山公園の「芝桜の丘」では、約40万株以上の芝桜が植えられ、ピンクや白、紫の巨大なパッチワークを描き出す。 その背後にそびえるのは、秩父のシンボル・武甲山。 力強い山の姿と、足元に広がる可憐な花の絨毯のコントラストは、この地ならではの絶景だ。
鉢の中の宇宙、盆栽
関東大震災を機に、東京の盆栽業者たちが移り住んで生まれた「大宮盆栽村」。 ここは今や、世界のBONSAI愛好家にとっての聖地となっている。 数百年生き続ける樹木を、鉢という小さな器の中で表現する芸術。 そこには、日本人の自然観と美意識、そして気の遠くなるような時間が凝縮されている。 大宮盆栽美術館で、その深淵な世界に触れてみてほしい。