マザーレイク、琵琶湖
滋賀県の面積の6分の1を占める琵琶湖。 それは単なる湖ではなく、近畿1400万人の命を支える巨大な水瓶であり、独自の生態系を持つ小宇宙だ。 湖畔に立てば、対岸が霞むほどの広大さに圧倒される。 朝の静けさ、昼の賑わい、夕暮れの黄金色。 刻々と変わる湖の表情は、見る者の心を穏やかに満たしてくれる。
三方よしの精神
「売り手よし、買い手よし、世間よし」。 近江商人が大切にしたこの「三方よし」の精神は、現代のCSR(企業の社会的責任)の先駆けと言われる。 天秤棒一本で行商に出かけ、日本全国に経済圏を広げた彼らの拠点は、今も近江八幡や五個荘に残る。 白壁の土蔵や洋風建築が並ぶ町並みからは、質素倹約を旨としながらも、公共のために尽くした商人の矜持が伝わってくる。
土と炎の芸術、信楽
タヌキの置物で有名な信楽焼だが、その真髄は「わびさび」にある。 日本六古窯の一つに数えられ、中世から茶人たちに愛されてきた。 赤褐色の肌、自然釉のビードロ、焦げの景色。 土そのものの力強さと、炎による偶然の美が融合した器は、使うほどに味わいを増す。 窯元が点在する山里を歩けば、土と共に生きる人々の息遣いが聞こえてくる。