奇跡の芸術、鳥取砂丘
東西16km、南北2.4kmに広がる鳥取砂丘。 一見、不毛な砂漠に見えるが、ここは風と砂が織りなす「生きた美術館」だ。 風が止む夕暮れ時、砂丘には風紋(ふうもん)と呼ばれる美しい波模様が現れる。 「馬の背」と呼ばれる小高い丘を登りきると、目の前には深く青い日本海と、燃えるような夕日が対峙している。 それはまるで異惑星に降り立ったかのような、圧倒的な非日常の光景だ。
異界への入り口、水木しげるロード
鳥取県は「まんが王国」としても知られるが、境港市の「水木しげるロード」は別格だ。 妖怪漫画の巨匠・水木しげる氏の故郷であるこの通りには、170体以上のブロンズ像が鎮座している。 夜になり、ガス灯のような温かい街灯が灯ると、そこはもう人間界ではない。 雨上がりの路面に妖怪たちの黒い影が伸び、どこからか下駄の音が聞こえてきそうな、心地よい恐怖と懐かしさが漂う。
冬の味覚の王様、松葉ガニ
「蟹取県」を名乗るほど、鳥取の冬はカニ一色に染まる。 中でもズワイガニのオスである「松葉ガニ」は、冬の味覚の王様だ。 日本海の荒波にもまれて育った身は、繊維が太く、上品な甘みと濃厚な旨みが詰まっている。 茹でたての真っ赤な甲羅から湯気が立ち上る様は、冬の食卓における最高の贅沢。 熱燗を片手に、無言でカニと向き合う時間は、至福のひとときと言えるだろう。