閑さや岩にしみ入る蝉の声
松尾芭蕉の名句で知られる山寺、立石寺。 千段余りの石段を登りきると、目の前には神々しい風景が広がる。 奇岩怪石に囲まれたお堂は、まさに修行の場にふさわしい厳しさを持つ。 四季折々の表情を見せる山寺は、訪れる人の心の澱みを取り去ってくれるようだ。
大正ロマン、雪の銀山
川の両岸に木造多層建築の旅館が立ち並ぶ、銀山温泉。 夕暮れ時、ガス灯に明かりが灯ると、温泉街は一気に大正時代へとタイムスリップする。 しんしんと降る雪の中、温かい湯に浸かり、川のせせらぎを聞く。 それは、日本人が心の奥底で求めている「郷愁」そのものかもしれない。
雪原の怪物、蔵王の樹氷
冬の蔵王に現れる、奇妙で巨大な雪の像たち。 「スノーモンスター」とも呼ばれる樹氷は、アオモリトドマツに雪と氷が幾重にも張り付いてできる自然の芸術だ。 晴れた日には、青空と白い怪物のコントラストが圧巻の光景を生み出す。
ガストロノミーの聖地、庄内
ユネスコの食文化創造都市にも認定された鶴岡市をはじめ、山形は食の宝庫だ。 日本海の荒波で育った魚介、肥沃な大地が育む庄内米、そして独自の進化を遂げたラーメン文化。 特に夏に食べる「冷やしラーメン」は、盆地の厳しい暑さを乗り切るための先人の知恵が生んだ傑作だ。 そして、冬の味覚の王様、寒鱈汁(どんがら汁)も忘れてはならない。